ルービックキューブ

【玄人向け】Speedcubing Advent Calendar/ 3×3 tips【CFOP】

投稿日:2017年12月20日 更新日:

ども、さじーです。

ここのところ色々と忙しく過ごしていて、ブログの更新が出来ずにいました。
楽しみにしていた方(いたら)すみませんでした。m(_ _)m

2017/12/16(土)~17(日)。2日間にかけて日本大会2017が開催されました。
私は3×3、4×4、5×5、3×3足、計4つの競技に出場しました。
結果としては4×4と3×3足の2競技で準優勝を納め、3×3を除く3競技で自己記録を更新しました。
特に4×4については単発28.35秒、平均32.81秒(どちらも日本ランキング3位)のタイムを残しました。
4×4は日本人の参加者の中でトップ(優勝したのがインド人)だったこともあり、晴れて「4×4日本一」となることができました。これは嬉しい。ありがとうございます!
(4×4日本一は2013年以来、通算2回目です)

他の競技もおおむね満足していますが、まだまだ課題の残る大会でした。
特に3×3…。決勝には残ったものの、家で練習しているときのタイムよりも大幅に遅いタイムで不満が残ります。
また、次の大会に向けて練習を頑張っていきたいと思います。

Contents

はじめに~Advent Calendarとは~

この記事は “Speedcubing Advent Calendar 2017” の19日目の記事として書かせてもらっています。

まず「Advent Calendarって何?」っていう方のために説明しますね。

Advent Calendarは本来、12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つ、穴が空けられるようになっているカレンダーです。WebでのAdvent Calendarは、その風習に習い、12月1日から25日まで1日に1つ、みんなで記事を投稿していくというイベントです。

https://adventar.org/より引用

ちなみに18日目はyurinoki0416さんによる 「クロックのエッジをスキップさせよう」でした。
20日目はcube0500さんによる「6yauについて」となっています。

Twitter(キューブ専用アカウント)の方で事前にアドベントカレンダーで投稿する記事内容のアンケートをとったところ、3×3 tipsが1位でした。
4×4 tipsが1位になるかと思ってたのですが、見当違いでしたね。
やはり競技人口の違いでしょうか。最もメジャーな3×3の方が需要があるようです。
今回、投票に協力してくださった皆様ありがとうございました。
残念ながら今回書けないネタに関してはまた時間があるとき書ければいいなと思っています。

今回書く内容は、恐縮ながら「玄人向け」となっています。
ルービックキューブをやっていてそこそこ速い人、通称キューバー(キュービスト)に向けて書いています。
(目安:3×3の6面が30秒以内で完成できるくらい
特に、CFOP法で使われる基本手順119個(F2L:41個/ OLL:57個/ PLL:21個)はすべてマスターしているのが望ましいです。
マスターしていないのなら、まずそこから覚えましょう。F2L⇒PLL⇒OLLの順番でコンプリートするのが良いです)

※そのあたりはCubeVoyageさんの「○○秒が切れない人へのアドバイス」にて書かれているので読んでみましょう。

また、できればこういった方にも是非読んでもらいたいです。
・スピードキューブの最終目標がsub10(公式・非公式など問わず、それくらいの実力にしたい)という人
・具体的に最終目標は決まっていないが、とにかく3×3のタイムを速くしたい人

該当しない方でももちろんこの記事を読んでいただいて構わないのですが、あまり伝わらないと思います…すみません。
また、CFOP法以外のメソッド(Rouxメソッドなど)を用いている方にとっても参考にならないかもしれません。

逆に、該当する方にはガッツリ読んでノウハウを吸収してもらいたいなと思っています。

3×3のCFOP法

今回は3×3のCFOP法のうち、F2Lの部分をガッツリ書きます。また、それ以外もサラっと書きます。
CFOPというのは「Cross」「F2L」「OLL」「PLL」のそれぞれ頭文字をとってきたものですね。スピードキューブにおいて最も一般的な解法です。
当然、皆さんの中では「もうそんなこと知ってるし使ってる」という内容も多々あると思います。
そういうのは読み飛ばしてもらって構いませんし、あくまで「佐島が3×3を揃えてるときはこんなことを考えてる」というのをわかってもらえれば幸いです。

とあるキューバーに最近「3×3揃えるとき、F2LまでとLLってどれくらいの時間で揃えてる?」と聞かれました。
これに対しては「F2Lまでがだいたい5~6秒、LLがだいたい3秒」という回答をしました。

8秒で揃えるときはF2L:5秒+LL:3秒。
9秒で揃えるときはF2L:6秒+LL:3秒。

それよりもっと速い時はだいたいF2Lが4秒台。
逆にもっと遅い時はF2Lが7秒以上かかってしまっているというときがほとんどです。

厳密に言うとLLのタイムももちろんブレるのですが、F2Lほどではありません。
だいたい、3秒くらい。いい時で2秒。遅いと4秒。
F2Lで良いタイムが出ている(と解いてる最中に感じてる)ソルブでは、LLはあまりブレません(体感的に)
タイムの振れ幅は、F2Lの方がLLよりも大きいということです。
(まあソルブの半分以上がF2Lなんで当たり前と言えば当たり前なんですが)

つまり何が言いたいかというと。

3×3のCFOP法において最も重要なパートはF2Lである

これです。
もう少し補足すると、Cross~F2Lまでが一番大事です。

F2Lまでのタイムが、総タイムの2/3以上かかってしまっている人は特に意識してF2Lを改善させた方がいいと思います。

Cross

では本題に入っていきます。
まずはインスペクション~Crossです。

Crossのポイントは「完読み」です。インスペクションで完全に読み切りましょう。クロスエッジ4個、完璧に読んでください。
私は、Crossだけならブラインド(目隠し)した状態でもほぼ100%間違わずに回せます。
この完読みですが、15秒を切るあたりからはほぼ必須だと思います。
クロスの位置を確認しながら回すのは当然タイムロスにつながってしまいます。

「じゃあどうやったら完読み出来るようになるの?」というと、練習しかありません。
クロスはパターン化されておらず無数のパターンが存在するので、どうすると効率的に、速く揃えられるかを考えましょう。

また、簡単なクロスであれば、インスペクションの段階でF2L#1を読みましょう。
完全に読めるならもちろんのこと、コーナーだけとか、エッジだけとかでも最初は構いません。
向きまで読まなくても、「クロスを揃え終わったらF2LのこのコーナーがU面に出てくる」というのがわかるだけでだいぶ違います。
また、そのコーナーの相方になるエッジの場所も読んでおくとさらに良いです。

では具体例を動画で説明しましょう。
※動画の音声が小さいものが多いので、音量大きめに設定してください※

サンプルソルブ1 ~F2L#1まで読み切れる場合~

スクランブル:
R U L2 B R2 B’ R2 U’ L F’ L2 D’ L2 F2 R2 L2 D’ F2 D

サンプルソルブ2 ~F2L#1のコーナーまで読める場合~

スクランブル:
U’ L2 U L2 U’ L2 D’ R2 F2 U R2 F’ R B2 D2 L2 D U2 L2 R U2

サンプルソルブ3 ~F2L#1を読むのが難しい場合 + その回避方法~

スクランブル:
R’ F’ D L’ B U L D B2 R L2 F’ L2 F’ B2 R2 L2 D2

あと、「CN(カラーニュートラル。マルチクロスのこと)はやったほうがいいですか?」ていう質問もたまに貰いますが、これに対する回答としては、
「全色を(ほぼ)同じタイムまでもっていくことができるならやった方がいい」です。
練習時間が取れないならやらない方がいいでしょうね。
あと、最終目標をsub7くらいにしたい場合でしょうか。

単色だけでもsub8クラスの選手はごろごろいますし、そこまでは行けると思っています。
また、単色だけだと難しい場合が多くて嫌だ、でもCNは大変、っていうのなら対面色だけやるデュアルクロスもおすすめです。
私は何度かやろうとしてすぐ挫折してますが…。
メインの色と同じくらいまで持っていければ、少しでもアンラッキーを回避できるかと思います。

F2L

最も重要だと先述したF2Lです。
CFOPにおいて最も時間がかかるパートであり、最もセンスが要求されるパートかと思います。
基本手順41種類に加えて、抜き手順、空きスロット手順、その他発展的手順を含めると多分私自身100手順くらい覚えてるんじゃないかなーと思ってます。
とにかくF2Lにおいて重要なのが「先読み」ですね。
Cross完成してから出来るだけ手を止めずにF2L#1~#4まで回していくことが肝要です。
3×3現世界記録保持者であり2度の世界チャンピオンになったFeliks Zemdegsはこの能力がずば抜けていて、なんならその後のOLLとPLLまで、調子の良い時のソルブは一度も手が止まることなく全部つながっています。
完全に才能によるものもあると思うので、あのレベルまでなれるのは相当な努力を積んだとしても真似できるものではないのですが、あれが完成形だということです。

先読みの大前提として、現在回している手順を無意識レベルで回す必要があります。
その回している手順に意識があるうちは、まだ練習不足ということです。
本当に意識するべきは「次に揃えるペアを探す」こと。
F2L#1を回している最中には#2を、#2の最中は#3を、そして#3の最中は#4を、といった具合です。
コーナーとエッジ両方が見つからない場合でも、最低限片方だけは見つけておきましょう。
この能力は膨大な練習量によって身についていくものなので、決して練習を怠ってはなりません。
速くなりたいならとにかく練習。基本的に毎日100回を目安として練習しましょう。

また各F2Lのつなぎ目で手が止まらないようにするための「ゆっくり回し」も良い練習になります。
はじめは先読みが出来る限界ぎりぎりの速さで回します。本当にゆっくり~~で構いません。
そして徐々に速く回しても出来るようにするのが効果的でしょう。
私自身、今でこそこのゆっくり回しの重要性を感じていて、100%全力で回すよりも少し力を抜いて8割ほどの速度で回した方がF2Lが繋がって速いタイムが出ることが多いと思っています。
(しかしFeliksやMax Parkら、世界ランクのキューバーはこれが100%全力で出来ています、おそらく)

で、こういったことについてはCubeVoyageはじめ、多くのトップキューバーが過去に述べてきたことと大差ありません。
では実際に佐島はどのように揃えているのか、またどのようなことを考えながら揃えているのか、具体例を交えて説明します。

F2Lサンプルソルブ1

スクランブル:
F’ U2 B’ R2 F’ R2 D2 B R2 B F R’ F’ L F2 D’ L R’ F2 U’ L

F2L#2スロットが#1と対角のスロットになってしまうため、あまり好ましくないですが、持ち替えがスムーズにできればタイムはそこそこ出るかと思われます。
ただ動画の中で解説しているように、#1と#2を隣接したスロットにして、時計回りor反時計回りに順繰り揃えていくのが理想です。

F2Lサンプルソルブ2

スクランブル:
D2 R2 B2 D U2 B2 U2 R2 F2 L2 U F U L’ F’ D2 U F’ R’ U2

“次につながるF2L”というのを意識して練習していきましょう。
#1や#2では基本手順を裏から回して、揃ったスロットはもう見る必要がないので奥に追いやっていけば、持ち替えが少なく効率的なF2Lソルブが出来るでしょう。

OLL

つづいてOLLです。
57手順をすべて覚えていることが前提です。こちらなどを参考に覚えましょう。

F2L#4を揃えるときに、なんとなくOLLのエッジがどれくらい揃うかがわかると思います。
特に十字がそろうかどうか、もしくは全反転になるかどうか、などです。
この感覚をつかめれば、F2L#4を回している最中にOLLのパターンがなんとなく絞れるので、OLLの判断スピードが上がる気がします。
sub10を目指すのであればOLLはだいたい全手順sub1.5(判断含む)で回せた方がいいですね。

あと補足ですが、私はF2L#4からの発展的substep(COLLやZBLL、WVなど)はほとんど使っておりません。
OLLエッジ全反転を避けるくらいはたまにやります。F2Lのエッジコントロールというやつですね。一応動画で解説します。

・F2L A0(エッジのみ反転)で上面エッジが3つ揃っている場合、奥の位置に揃っていないエッジを持って来て特定の手順を回すとOLLクロスが揃う
・ペアの入れ方を敢えてR’FRF’(通称:スレッジハンマー)とすることでOLLのエッジ全反転を避ける

substepは覚えていた方がいい、簡単なやつだけでも…、と某トップキューバーから言われたことがあるので、時間があれば少しずつ覚えていくかもしれません。

PLL

最後に、PLLです。
こちらももちろん21手順すべて覚えているのは当然のこと、OLLに比べてパターンが少ないため、なるべく2方向・3方向などから回せるとなお良いです。

U-perm: 各2つ
A-perm: 各2つ
Z-perm: 2つ(ほぼ変わらない)
n14 J-perm:a 2つ
n17 G-perm:c 2つ
n19 G-perm:b 2つ(ほぼ変わらない)
N-perm: 各2つ(ほぼ変わらない)

これくらいは覚えて使ってます。
(ほぼ変わらない)と書いたものについては最初や最後の1,2手が少し違うだけで同じ手順なので覚えていると得なものです。
回し方の参考になればと思い、解説動画を作りました。

1パターンにつき1手順しか使っていないものも一応動画を作りました。

H-perm
E-perm
T-perm
V-perm
F-perm
R-perm:b, a
J-perm:b
Y-perm
G-perm:d, a

の順で撮影してます。

sub10を目指すのであれば、こちらも全手順sub1.5(判断含む)を目指しましょう。

余談 ~好きなPLLランキング~

判断スピード・手順速度を総合的に判断してランク付け。

・すごく好き
H Jb Ua T

・わりと好き
Ub Rb Ja Ab Aa

・普通
Gd Z Y Gb

・苦手(判断も含め)
F Ra V Gc Ga

・すごく苦手
Nb Na

・消えてほしい
E

・・・苦手なやつを極力減らしていきたいです。はい。

おわりに

長くなってしまいましたが、私が3×3を解くときに考えていることを書きました。
私は現在3×3日本ランキング5位(2017/12/19現在。平均8.47)なので、このやり方を真似すれば一応sub9くらいまではいけるんじゃないかと思います。
少なくとも、sub10はいけるでしょう。
ハード面がかなり進化して購入時から性能の高いキューブが手に入るようになった昨今。
sub10を最終目標にしているキューバーはぜひ参考にして頂けると幸いです。
ここに書ききれないことも多かったのですが、もっと詳しくこれを聞きたい!というのがあれば大会などでお会いした時にお教えしたいと思います。

あ、またtriboxレビューの方もさせて頂いてますので、引き続きよろしくお願い致します。
私のメインキューブは現在GAN356 Air SMですが、Valk3 Power Mの方もかなり良いなと感じていて乗り換えも視野に入れてます。

“皆さんも、スピードキューブの練習を、頑張ってくださいね(^^)”

ではまた!

 

【2019/12/08追記】
2018年版アドカレはこちら
ルービックキューブ Advent Calendar 2018 / 5x5sppedにおけるラスト4エッジ解法について

2019年版アドカレはこちら
⇒「Speedcubing Advent Calendar 2019 / 4×4 Yau Method tips

 

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